湿度センサーの選び方

湿度は、様々な製造工程や貯蔵、冷房や暖房などの空調システムの操作において非常に重要な要素です。 湿度センサーについて語る場合、空気中や気体中に存在する水蒸気の量を表す湿度と、液体や木材、コンクリートなどの固体内部に存在する水分の量を表す湿度を区別する必要があります。 この2種類の湿度を測定するための技術や機器は異なります。この購入ガイドでは気体中に存在する水蒸気の量を測定する湿度センサーのみを取り上げます。 湿度センサーは、接触する大気の湿度に応じて(感応素子で)反応し、測定器(湿度計)やディスプレイ、自動制御システムなどに電気信号を発信する装置です。 湿度計湿度センサーは似ているようで違います。 湿度計は湿度値を読み取ることができる測定器(画面やその他のタイプのディスプレイ)であるのに対し、湿度センサーは、単に電気信号を送るだけのものなので、他のデバイスで処理する必要があります。

湿度センサーを見る

  • 絶対湿度と相対湿度

    大気中や気体中の湿度を測定する場合、2つの全く異なる質量があります。 絶対湿度と相対湿度です。

    絶対湿度

    絶対湿度は、乾燥した空気(気体)の中に含まれる水蒸気自体の質量を表し、通常、縦横高さ1メートルの空間にある水蒸気の重さが何グラムかで表されます。絶対湿度は、空気(気体)の温度に左右されません。

    相対湿度

    相対湿度はパーセンテージで表され、空気中に存在する水蒸気の質量(絶対湿度)と、空気が含むことのできる水蒸気の最大質量(飽和水蒸気量。これを超えると水蒸気は凝縮します)の比率を表します。
    この凝縮前の飽和水蒸気量は、温度によって変化します。 例えば、空気(気体)が暖かいほど、より多くの水蒸気を含むことができます。このため、同じ質量の水蒸気でも、相対湿度は温度によって変化します。
    相対湿度が100%になる温度を露点温度といい、この温度に達すると結露が発生します。

  • 湿度センサーの種類について

    湿度センサーは主に3種類あります。

    静電容量式湿度センサー

    静電容量式は、感湿膜を2つの電極で挟んでおり、コンデンサのような構造をしています。この2つの電極間の静電容量は、相対湿度によって変化するので、それを使って湿度を測定します。

    静電容量式は出力が直線的で、0%から100%までの相対湿度を測定できます。

    この方式のセンサーを使えば、高精度の大気測定が行えます。 そのため、主に工業や気象学の分野で使用されます。

    抵抗式湿度センサー

    抵抗式は、イオンを用いて感湿膜(導電性ポリマーや塩)の抵抗値の変化を測定します。 感湿膜の吸湿によって発生するこの抵抗値は、湿度によって変化します。

    このタイプのセンサーは、相対湿度5%以下に関しては正確な測定ができません。 しかしその反面、価格が安いです。 こういった点を踏まえると、特に高精度の測定を求めていないのであれば、この方式のもので十分だといえます。

    露点式湿度センサー

    露点式湿度センサーは、空気中の水蒸気が凝縮し始める温度(露点温度)を測定し、それによって湿度を推測します。

    上記2つの方式よりも複雑なこの方式は、主に実験室などで多く使用されます。

  • 静電容量式湿度センサーを選ぶ理由

    ROTRONIC社製 静電容量式湿度センサー

    静電容量式湿度センサーは、コンデンサのような構造をしています。吸湿、脱湿する感湿膜を挟んだ一対の電極が大気(空気または気体)と接触することで、湿度を測定します。

    感湿膜が大気中の水分を吸収することにより、電極間の静電容量が変化し、この変化を使って湿度を測定します。

    メリット :

    • 信頼性、正確性、安定性が高い
    • 応答速度が速い
    • 相対湿度の測定範囲が広い(0~100%)
    • 温度範囲が広い(-70℃~+200℃)
    • 小型で統合しやすい
    • 結露、ほこり、化学薬品に強い

    デメリット:

    • 低湿度(10%以下)では精度が落ちる
    • 抵抗式センサーより高価
  • 抵抗式湿度センサーを選ぶ理由

    Rotronic社製 抵抗式湿度センサー

    抵抗式湿度センサーは、吸脱性のある感湿膜(導電性ポリマー、塩、加工済み基板など)の抵抗値の変化によって湿度を測定します。 この方式のセンサーは通常、基板上に蒸着された貴金属電極、またはプラスチックやガラスの円筒に巻かれた電極で構成されています。 基板は、感応素子周辺の大気の湿度に応じて抵抗値が変化する塩または導電性ポリマーでコーティングされています。

    この方式のセンサーは経済的で、新しいセンサーを校正する必要なく現場で交換できるというメリットがあります。

    メリット:

    • 静電容量式より比較的安価
    • 校正不要のため現場で交換可能 
    • 中程度の相対湿度(20~90%)に適している

    デメリット:

    • 過酷な環境に適さない
    • 結露や化学薬品に弱い
  • 露点式湿度センサーを選ぶ理由

    Ahlborn社製 露点式湿度センサー

    露点式湿度センサーは、光学的測定原理を用いて大気の露点温度を測定します。 この方式は、光線をセンサーに反射させるミラーを使います。 まず、ミラーの表面を熱電素子(ペルチェ素子)によって冷却します。 そして露点に達すると、ミラーに結露が生じ、光電子センサーへの反射光が減少します。 その後、温度センサーがミラーの温度(露点温度)を測定し、これを使って湿度を測定します。

    メリット:

    • 長期に渡る優れた安定性
    • 湿度の変化に素早く対応できる
    • 結露に強い

    デメリット:

    • 清潔な環境が必要
    • 相対湿度が低いと出力が直線的にならない
    • 他の方式に比べて高価
  • 湿度センサーの選び方

    湿度センサーの種類を選んだら、あとは通常のセンサー選びの基準でモデルを選びましょう。

    • 測定範囲
    • 精密度
    • 解像度
    • 出力信号とコネクタのタイプ
    • 組み立てと接続
    • 使用環境に応じた使用温度と保護レベル
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