モ-タ-を正しく選択するには?

モーターは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換するための電気機械部材です。ほとんどの場合動きは回転式であり、機械的エネルギーは回転数とエンジントルクによって特徴付けられます。

この購入ガイドではこのタイプのエンジンについてのみ説明します。リニアモーターは別の記事で扱われます。

モ-タ-が世界の電力消費量の46%を占めると推定されていることから、モーターは至る所で使用されています。ポンプを運転し、コ ンプレッサーとコンベヤーを駆動し、ファン、送風機、ドリルあるいはミキサーを運転させます。

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  • モ-タ-の選定方法とは?

    モ-タ-は異なるタイプの動き(速い、正確、連続的、速度変更有りと無し…)を実行できます。モ-タ-を必要とする用途は数多くあります。

    1. まずは大きく分けて3つのタイプから選びます:
    1. 次に3つのタイプのモ-タ-からどのタイプを選択するか決定するために、使用用途を決めます。
      • モ-タ-が連続的に機能し、少しのギアチェンジで動かしたいのであれば、非同期モーターを選びましょう。
      • 動的用途には同期モータ-が必要です。
      • 正確な位置決めにはステッピングモーターを選びます。
    1. 希望の動きに応じて、モータ-の技術仕様サイズも決定する必要があります。
      • 技術仕様に関しては、エンジンの出力、トルク、回転数を決定する必要があります。
      • 寸法に関しては、モーターのサイズと設置の種類(システム内の固定方法)に注意する必要があります。
    1. モーターのサイズと堅牢性は、モーターが動作する産業環境にもよります。
      • あらゆる環境(爆発の可能性、湿度が高い、腐食性、高温)などに適したタイプのモーターがあります。
      • 過酷な環境用に強化されていて、防水で耐衝撃性また防汚性を持つモーターがあります。
    1. エネルギー効率は、近年モ-タ-の選択に重要な基準となっています。
      • エネルギー消費量が少ないモーターは経済的です
  • ACモーターとDCモーターのどちらを選ぶか?

    この2種類のモーターの構造には違いがあります。

    • 最も基本的な違いは電源にあります。例えばバッテリ-の場合、交流(単相また三相)と直流(DC)です。
    • 速度の面でも違います。DCモーターの速度は、モーター内の電圧を変化させることで制御されます。一方ACモーターの速度は、周波数を変化させることで制御され、一般的には周波数変換器を使用します。

    1. ACモーター :

    ACモーターはその長所のため、業界で最も人気があるモ-タ-です。

    • 構造がシンプル
    • 起動時の消費量が少ないため、より経済的
    • またより堅牢であるため一般的に長寿命です。
    • 少しのメンテンナンスで済む

    回転子の回転と電流の周波数が同期化するため、ACモーターの速度は一定のままです。 そのため、連続的な動きと速度の変化が少ない用途に適しています。 ポンプコンベアやファンはこのタイプのモ-タ-に最適です。

    可変速度で使用される場合、高い精度を必要としないシステムに統合することができます。

    一方で速度制御機能は他のモ-タ-よりも高価です。

    ACモーターは、単相モーターと三相モーターの2つのタイプに分けられます。

    • 単相モ-タ-には次のような違いがあります。
      • トルクを決定する電力(kW)
      • 回転速度を与える極数
      • 固定方法:フランジ(B14、B5)また脚(B3)
      • 効率
      • それほど強力ではないので、工業的でない
      • 家庭用電力網で使用できます
    • 三相モーターには次のような違いがあります。
      • 単相電圧モーターよりはるかに多くの電力を運ぶことができる構造
      • 8割の産業分野で使用されている
      • 強い電力を必要とするインフラストラクチャ-や機器のための使用
    AmetekのDCモ-タ-
    AmetekのDCモ-タ-

    2.DCモ-タ- :

    DCモーターは、以下の利点があるので産業界で広く利用されています(ブラシレスモーターを参照してください):

    • 高精度
    • 速度は供給電圧を変えることで制御できる
    • モバイルシステム(電池上)を含め設置が簡単
    • 始動トルクが高い
    • 起動、停止、加速、バックが迅速に行える

    速度において高い精度を必要とするエレベータ-、また位置レベルにおいて高い精度を必要とするロボットや工作機械のような動的用途に非常に適しています。また、高電力(例えば10000kW)を必要とする用途に適しています。

    しかしACモーターと比較していくつかの欠点があります。

    • 大きな電力を必要とする用途に適していないため、あまり知られていません。
    • 消耗し交換するには高価な部品で構成されています。

    3. 最近の傾向は?

    • DCブラシモーターは、産業界では徐々に使用されなくなっています。代わりに低電力でメンテナンスの少ないACモーターを使用する傾向にあります。
    • ACモータ-と周波数変換器の組み合わせは、速度変動を必要とする場合に費用対効果の高い選択となりました。
  • ブラシレスモーターかブラシ付きモーター?

    BODINEのブラシ付きDCモ-タ-
    BODINEのブラシ付きDCモ-タ-

    最も一般的なDCモーターは、ブラシ付きモーターとブラシレスモーターです。

    1.ブラシ付きモーター

    ブラシ付きモーターは、最も単純で頻繁に使用されるモーターで、特に基本的な産業用機器や低予算な用途におすすめです。

    • ブラシ付きモーターの長所:
    • 制御が簡単
    • 低速トルク
    • それほど高くない

    用途に応じて4種類のブラシ付きモーターがあります。

    • 直列励磁モーター:
      • このタイプのモータ-のステータは、ロータ-と直列に接続されており、速度は供給電圧を変えることによって制御されます。
      • モータ-へのトルクが増加するとすぐに速度が低下するため、速度制御はあまり優れていません。
      • このタイプのモーターは、自動車やクレーンなどの高い始動トルクを必要とする場合におすすめです。
    • シャント励磁モーター:
      • このタイプのモーターは、ステータがロータ-と並列に接続されているため、モータ-の電流が増加した時に速度を落とすことなく、より高いトルクを得ることができます。
      • 掃除機やコンベヤーのような一定速度が必要な場合に適しています。
    • 複合励磁モーター :
      • このタイプのモータは、直列励磁モータ-とシャント励磁モータ-の構造を組み合わせたものです。*
      • よってより大きな速度変化と同時に高い始動トルクを提供します。
      • ロータリープレス、エレベーター、手荷物カルーセル、遠心ポンプやコンプレッサーなどに最適です。
    • 永久磁石モーター:
      • このタイプのモーターには、低トルクを可能にする永久磁石が使用されています。
      • ロボットやサーボシステムのように正確な制御を必要とする場合に最適です。

    しかしブラシ付きモーターには大きな欠点があります。

    • ブラシレスモーターより効率が悪い(ブラシレスが85%-90%の効率であるのに対し75%-80%)。
    • 定期的に起こる摩擦のため、時間が経つにつれてより早く消耗します(使用頻度、電力、速度、振動にもよりますが、1000時間から10000時間の寿命)。
    • ブラシとコレクターのアークは、火事を引き起こす可能性がある電磁ノイズを発生させる可能性があります。
    • また摩擦による火花の危険性があるため、爆発性のある環境での使用は望ましくありません。
    • ブラシが加熱されるため、速度は一般的に制限されています。
    • グラファイト製のブラシはほこりを発生させ、光学機器を含む他の機器を損傷することがあります。
    • 潤滑される必要があるため掃除機には使用できません。
    Maxonのブラシレスモ-タ-
    Maxonのブラシレスモ-タ-

    2.ブラシレスモ-タ-

    ブラシレスモータには、ブラシの存在を含めいくつかの欠点がありますが、もちろん長所もあります:

    • より高速(ブラシモーターの場合の毎分20000回転に対して最大100000回転)。
    • 寿命が長い(10000時間以上)。
    • ベアリング以外の摩耗部品がないため、メンテナンス作業が少ないです。
    • これらのモ-タ-は非常に高速で作動するため、グラインダー、ファンまたのこぎりに特に適しています。

    ブラシレスモ-タ-はエンコーダー、電子的に切り替えてローターの位置を決めに使用できるセンサーを装備しています。これらのモ-タ-はサーボモーターに最適です。

    欠点もあります:

    • 専用のスイッチング装置(制御装置)を統合する必要があるため、初期にかかるコストが高いです。
    • また駆動には減速機を必要とします。

     

     

     

     

     

    火星探査機オポチュニティ (Opportunity)
    火星探査機オポチュニティ (Opportunity)

    ブラシモーターの最後?オポチュニティ (Opportunity)との使用

    ブラシ付きモータ-対ブラシレスモーターで勝負をしたとすれば、ブラシ付きモータ-が負け、一見無能だと思われますが、実は産業界でも航空宇宙業界でも多く利用されているのです。

    スイスの電気モーターメーカーであるマクソン(maxon)は、絶えずブラシモーターの開発しています。マクソンのブラシモータ-は、2003年に送られたNASAの火星探査機オポチュニティ (Opportunity)に装備されています。

    ブラシ付きモーターの制御の単純さからコントローラーは1つで、34個のモーターを制御する能力を持っていることからNASAはこのモ-タ-を選びました。

    ブラシレスモーターは、コストと複雑さのリスクを伴い、モーター数に応じたコントローラー数を必要とします。

  • なぜステッピングモーターを選択するか?

    山洋電気の2相ステッピングモーター
    山洋電気の2相ステッピングモーター

    ステッピングモーターは、電気パルスを角運動に変換します。 開ループ位置制御を必要とする用途に役立ちます。

    ステッピングモーターには3つの特徴があります。

    • 可変リラクタンスモーター : 同一の電気的特性を有するので強力ではありませんが永久磁石モータよりも速いです。
    • 永久磁石モーター: 低コスト、平均的な分解能(最大100ステップ/回転)。
    • ハイブリッドモーター : 2つの技術を組み合わせたものですが、より高価です。
      より良いトルクとより速いスピードが長所です。 分解能は100から400ステップ/回転。

    永久磁石モーターとハイブリッドモーターは、下記の長所のため最も一般的に使用されているモ-タ-です。

    • 高精度。
    • 低価格。
    • 堅牢。
    • シンプルな構造。
    • 起動時と低速時のトルクが大きい。

    また下記の短所もあります。

    • 速度とトルクが比較的に低い。
    • 速度が上がるにつれてトルクが急激に減少する。
    • 共鳴を引き起こす振動を発生させる。
    • 過熱の恐れ。

    ステッピングモーターを選択するには以下の点を確認してください。

    • トルクと負荷
    • ステップ数
    • モ-タ-の寸法
    • 価格
  • モ-タ-のエネルギー効率基準は?

    メ-カ-は年々エネルギー効率に取り組むようになっています。 より環境にやさしい経済は、多くの国が自ら約束したCOP21の目標の1つです。 しかし業界がエネルギー効率の高い機器を購入している一番の目的は、消費を制限して節約を実現するためです。 欧州委員会の調査によると、モ-タ-はヨーロッパの産業用エネルギー消費量の65%を占めています。 そのためモーターは、CO2排出量を削減するための重要な要素です。 欧州委員会は、2020年までにヨ-ロッパ製モーターのエネルギー効率を20〜30%向上させることが可能であると予測しています。  キ-ポイントとなるのは、大気中の6300万トンのCO2と1350億kWhの節約です。

    エネルギーをあまり必要としないモーターを統合してコストを削減し、地球環境を改善するには、まず お住まいの国や地域のモ-タ-のエネルギー効率基準を検討する必要があります。 しかしこれらの規格は全てのモーターには適用されず、AC非同期電気モーターのみに適用されます。

    国際規格

    • 国際電気標準会議(IEC)は、IEコードとして知られている、市販の電気モーターのエネルギー効率クラスを定義しています。これは国際IEC規格にまとめられています。
    • IECは、モーターのエネルギー性能を定義する4つのレベルのエネルギー効率を確定しました。
      • IE1は標準レベルの性能を表します。
      • IE2は高いレベルの効率を表します。
      • IE3はプレミアムレベルの効率を表します。
      • IE4はまだ検討中ですが、スーパープレミアムレベルの効率を表すでしょう。
    • またIECは電気モーターのテストのためのIEC 60034-2-1:2014を実施しました。 国際規格IEC 60034-2-1も参照しながら、多くの国が国内試験規格を使用しています。

    ヨーロッパ

    EUはメ-カ-に対し、エネルギー効率の高いモ-タ-を市場に導入する必要があることを伝え、エネルギー消費量を削減することを目的としたいくつかの指針をすでに採用しています。

    • 2011年以降IE2クラスは全てのモ-タ-に必須です。
    • 2015年1月から7.5kW〜375kWのモータ-にはIE3クラスが必須です(またこれらのモータ-に周波数変換器がある場合はIE2が必要です)。
    • 2017年1月1日以降IE3クラスは、0.75W〜375kWのモーターに必須です。

    アメリカ合衆国

    米国ではアメリカ電機工業会NEMAによって設定された規格が有効になっています。 2007年以降、最低限必要なレベルはIE2です。
    同様の分類がオーストラリアニュージーランドにも適用されます。

    アジア

    中国では、2002年以来、韓国の最小エネルギー性能基準MEPS基準が中小型三相非同期モーターに適用されてきました(GB 18693)。2012年に、MEPS基準は、IE1からIE2まで、そして現在はIE3までIEC基準と調整しました。

    日本は、国内の規制をIECの効率クラスと調和させ、2014年のトップランナープログラムにIE2およびIE3レベルの電気モーターを含めました。1998年に設立されたトップランナー方式は、日本の製造業者が常に前世代よりも新しい、よりエネルギー効率の高いモデルを市場に提供することを義務化させ、エネルギーのエミュレーションと革新を強く求めています。

    インドは2009年から効力比較ラベルを、2012年からIE2で国内標準を取得しています。

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