産業用PCの選び方

産業用PCは、主にプロセス制御やデータ収集に使用されます。産業用PCは、信頼性、互換性、拡張オプション、強度、寿命などの点で、一般向けのパソコンとは異なる特徴を備えています。

パネルPC、ノートパソコン、タブレットPCについては、他のガイドで紹介しています。

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  • 産業用PCをどう選ぶか?

    産業用PCを選ぶ際には、何に使うのか、どこに設置するのかを明確にする必要があります。 この2点を明確にすることで、産業用PCの形状(コンパクトかどうかなど)、取り付け方 (ラックマウント型など)、重要な技術的特徴、組み込むべき周辺機器(タッチパネル、ハードディスクなど) を決定することができます。 また、湿気が多いかどうか、寒いか、暑いか、埃っぽい場所かどうかなどの、設置する環境についてよく知っておく必要があります。

  • 一般的に使用されているPCと産業用PCとの違いは何か?

    アドバンテック社の産業用PC
    アドバンテック社の産業用PC

    産業用PCは、一般的に使用されているパソコンとは大きく異なります。

    主な違い:

    • 温度:一般消費者向けのパソコンは、動作温度が35℃までですが、産業用PCは85℃まで動作可能です。極めて頑丈なカスタム設計のモデルでは、-70℃まで動作可能なものもあります。
    • 衝撃・振動:一般消費者向けのパソコンは、産業用PCに比べ、衝撃や振動の影響を受けにくいです。 そのため、ハードディスクや各種カード、光学ドライブなど、産業用PCの構成部品は、衝撃や振動から守るための緩衝器に設置されています。
    • ほこり:パソコンにほこりがたまると、過熱や故障の原因となります。 ファンを1台以上搭載する産業用PCには、ほこりの侵入を防ぐためのフィルターが取り付けられています。 産業用PCの中には、ファンレスPCと呼ばれるファンレスのものが増えてきました。 しかし、ほこりが非常に多い環境では、ファンを搭載したPCを選ぶことを強くおすすめします。
    • 湿度:産業用PCは、一般的なパソコンに比べ湿度に強いです。
    • 電源:工場では、電圧の問題が発生することがよくあります。 そのため産業用PCには、直流電圧を安定化させた電源が搭載されています。
    • 調整可能 : 産業用PCは拡張性があり、ストレージ容量や追加カードなどを後から追加することができます。産業用PCは、用途に合わせて調整できるため、長く使うことができます。
    • 寿命:産業用PCの平均寿命は7年です。 この年数は、製品に使用されている部品の販売期間に基づいています。
  • どの産業用PCを選ぶべきか?

    コンテック社の組み込みPC
    コンテック社の組み込みPC
    • 組み込みPC: 様々な装置や機器、また大規模な設備に組み込まれる特殊なコンピューターです。 スマートフォン用の小型のものから、巨大な土木機械や軍用機器を管理するオールインワンソリューションまで、さまざまな形や大きさのものがあります。 また、組み込みPCは、機械、人、場所、モノをつなぐ「モノのインターネット」においても重要な役割を担っています。
    • パネルPC: ディスプレイを内蔵した産業用PC。
    • BOX型PC: 見た目は普通のパソコンと変わりませんが、産業用途に適したパソコンのこと。 強化ケースやフィルター装置を搭載しています。
    • オールインワンパソコン(一体型パソコン):モニター、キーボード、マウスなどが一体型になったパソコンです。
    • サーバー : 強力なコンピューターで、ラックマント型が多いです。 サーバーは、複数のクライアント間でデータやリソースを共有したり、計算をするなど、さまざまな機能(「サービス」と呼ばれることもある)があります。
  • 考慮すべき技術的な特徴とは?

    AAEON社のマザーボード
    AAEON社のマザーボード

    一般向けのパソコンと同様に、性能別に幅広い選択肢があります。

    • プロセッサーの種類:産業用PCを購入する際に、最初に考慮すべき要素です。 CPU(中央処理装置)は、パソコンの頭脳であり、制御と演算を行う装置です。 CPUの選択は、必要な演算能力から選びます。 データ収集のような単純な用途には、強力なCPUを選ぶ必要はありません。 CAD/CAMでの複雑な演算やマルチタスクには、強力なプロセッサーが必要です。 また、コストや消費電力も選択要素の1つです。
    • メモリ:RAM(ランダムアクセスメモリ)は、プロセッサにデータを高速転送します。 RAMの選択は、PCの動作速度に影響を与えます。
    • ストレージ:データの保存には、HHD、SSD、外部ストレージ(外付けハードディスク、USBメモリ、クラウドなど)が使えます。
    • ポートと拡張機能:機器の入力と出力です。 画面や映像出力などが含まれます。
    • OS(オペレーティングシステム): WindowsやLinuxなどを指します。OSは既存の機器やシステムと互換性がある必要があります。

    仕様一覧 :

    • プロセッサーのタイプ
    • メモリ
    • ストレージ
    • ポートと拡張機能
  • HDDとSSDのどちらを選べばいいか?

    東芝(TOSHIBA)のハードディスクドライブ
    東芝(TOSHIBA)のハードディスクドライブ

    HDD(ハードディスクドライブ)は、ハードディスクの定番です。  SSD(ソリッドステートドライブ)の方が新しいです。 そして何より、SSDはサイズが小さく、高速で、静音性に優れています。 寿命はHDDより長いです。 消費電力が少なく、振動や磁界の影響を受けにくいです。 また、SSDはアクセス時間が短く、レイテンシ(遅延時間)が発生しにくいという特徴があります。 一方で、SSDはHDDの約3 ~5倍の価格です。

    HDDを選ぶ理由 :

    • 大容量ストレージが必要な場合。
    • 値段がそこまで高くない。
    • 非常に多くの読み書きができる。

    SSDの最適な使い方:

    • PCやプログラムの起動を速くするため。
    • 写真、オーディオ、ビデオなど、よく扱うファイルのアクセシビリティ向上。

    他にも以下のような使い方ができます:

    • ストレージサーバーとして:ネットワークに接続された独立型のファイルサーバーで、クライアントのデータを保存することが主な機能です。
    • クラウドとして:データはオフサイトで保存され、インターネット経由でどこからでもアクセスできます。

    ストレージの種類:

    • HDD(ハードディスク)
    • SDD(ソリッドステートドライブ)
    • ストレージサーバー
    • クラウド
  • 産業用強化コンピュータの主な規格とは?

    Kontron社の産業用強化コンピュータ
    Kontron社の産業用強化コンピュータ

    コンピュータには多くの保護規格があります。 ここではそのいくつかを紹介します。目的に合った規格に準拠したパソコンを見つけましょう。

    • IP規格:用途に合ったIP規格を選択するためには、パソコンの使用環境について知る必要があります。 最初の数字は防塵性能、次の数字は防水性能を表しています。 産業用PCは、IP65またはIP67に対応しています。
    • ATEX規格:爆発の危険がある場所で作業する人のための保護規格で、ATEX対応の産業用PCがあります。
    • MIL-STD-810(ミルスペック):軍事用途に適した装備であるかどうかを判断するための、一連の試験を定めた軍事規格。 業務用ノートパソコン製造業界は、この規格よく参考にしています。
  • 産業用PCを選ぶために考慮すべきその他の点とは?

    コンピューターのスピードやメンテナンスの問題の多くは、ファンが原因です。

    ファンはパソコンの中で最も壊れやすい部品の一つです。ほこりや油汚れで傷みやすく、パソコンのオーバーヒートの原因になります。 最近では、冷却技術の進歩により、ファンレスPCの製造が可能になりました。 機械の信頼性を向上させ、メンテナンスコストを削減することができます。

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