流量計は、パイプ内を流れる流体の量を測定します。流量の測定は、ほとんどの産業プロセスに必要不可欠です。
正しい流量計を選択するには、測定する流体の種類(液体・ 気体・スラリー等)、温度や圧力などを知ることが重要です。
この購入ガイドでは、流量計の選定に役立つ情報をお伝えします。
ほとんどの流量計は体積流量(流体の体積)を測定でき、また質量流量(流体の質量)を測定できる流量計もあります。 流体の特徴(密度など)が分かっている場合、質量流量から体積流量を計算することも可能ですが、どの流量情報が必要なのかを予め明確にし、適切な流量計を選択することをおすすめします。
流量計を選択する際のもう一つの重要な要素は、流体の性質です。以下は流量計と流体性質の適合性を示す表です。
流量計のタイプ | 測定流体 |
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流量計の設置位置も重要なポイントです。 配管内に曲がりや絞りなどがあると流体の流れが乱れ、正しく測定ができない流量計もあります。 上流直管の長さは配管の直径により異なり、 例えば10〜30Dは、配管の内径の10〜30倍の長さが必要です。 配管の直径が10cmの場合、流量計が設置されている上流直管は、100〜300 cmでなければなりません。
以下の表は、流量計による上流直管の長さと、配管の直径を示しています。
流量計のタイプ | 上流直管の長さ | 配管の直径 |
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10-30D | 0.025-1m |
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5-10D | 0.05-1.2m |
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0 | 0.004-0.12m |
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0 | 0.003-0.3m |
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5D | 0.002-2.6m |
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15-25D | 0.015-0.3m |
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5-20D | 0.025-4m |
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0 | 0.001-0.15 m |
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0 | 0.003-0.12 m |
液体または気体の体積流量を測定する場合は、差圧式流量計がお勧めです。
原理は比較的に単純で、流路に絞り弁を設置し、圧力の損失を発生させ、絞り弁の前後の圧力差から流量を検出します。
差圧式流量計は、固形物を含む液体には適していません。液体中の固形物が絞り弁を侵食し、形状とサイズを変化させ、正しい測定ができなくなるからです。
この流量計は、精度が高いだけでなく、低コストであることも人気の理由の1つです。
使用の際は、配管の一部を流量計に交換する必要があります。
ベンチュリ流量計は、混合物を含まない流体や、混合物を含むの流体の体積流量を測定します。 このタイプの流量計は、ベンチュリ内の流体の通過によって生成される圧力差を測定します。この差は流体の流れに比例します。
流量計の精度は約0.5%で、 差圧式流量計よりも固形粒子の影響を受けにくいため、混合物を含む流体に適しています。
この流量計を使用するには、配管の一部を流量計に交換する必要があります。
オバール歯車式流量計は、液体の流体の体積流量を測定します。 これらの流量計では、流体は2つの楕円歯車の間を循環します。 単位時間あたりの歯車の回転数を数えることで、体積流量が分かります。 頑丈な構造のおかげで、高粘度の流体に特に適しています。
電磁式流量計は、ファラデーの電磁誘導を利用して流量を測定します。 導電性液体は磁場の中を循環し、液体が過する際に流量に比例した電圧が発生することで、流量を正確に測定できます。 これらの流量計は特に耐性があり、困難な環境での測定ができます。
電磁流量計は可動部がないため、メンテナンスが不要で、非常に正確ですが安価です。
タービン式流量計は、気体や液体の流量計算のために使用されます。 羽根車を流路に配置し、流体の流れで羽根車が回転するので、その回転数から体積流量を測定します。
この方法は、大流量で非常にうまく機能し、低流量では、羽根車の回転が遅すぎて適切な測定ができません。
これらの流量計は正確で、流量の変動に対して反応が早く、高圧・高温でも動作できます。
一方、羽根車は摩耗しやすい可動部であるため、定期的なメンテナンスが必要です。
超音波式流量計は、固形分が多い液体には不向きです。
動作原理は比較的単純で、2つのトランスデューサーが液体を介して、超音波を交互に送受信します。 伝播時間の差は、流体の速度に比例します。
超音波流量計の主な利点は、トランスデューサーを流路に挿入する必要がないため、ドリルで貫通することなく、配管の外側から取り付けることができる点です。 この方法では、トランスデューサを設置するために回路を停止する必要がありません。
ただし、超音波流量計はコストが高く、低流量には適していません。
面積式流量計は、液体、気体、蒸気などいずれの流体でも測定できます。 ただし、高粘度液体また混合物を含む液体にはおすすめできません。
垂直に取り付けられたテーパー管内にフロートを入れ、下方より流体を流すと、流れはフロート部分で絞られ、その前後に圧力差が生じます。この圧力差を差圧と呼び、フロートの有効重量による下向きの力と、差圧による上向きの力が釣り合った所でフロートは静止し、この位置を検出することにより、瞬間流量を測定します。
非常に安価です。
このタイプのセンサーは、橋の柱に吹く風によって形成される渦のように、障害物の下流で渦が発生する現象を利用します。 流れている流体の中に障害物があると、その下流側に交互の渦が発生します。 流体の速度と渦の発生周波数は比例関係にあり、渦の個数を検出することで、流量が測定できます。
渦流流量計は、液体、気体、蒸気の流量を測定します。 混合物を含む液体も測定できすが、定期的なメンテナンスが必要です。
このタイプの流量計は、高流量に適しています。流量が小さすぎると、渦の形成が制限され、流量の読み取りが不可能または不正確になります。
熱式質量流量計は、清浄な流体や清浄でないガスの質量流量を測定できます。 流体が熱物体に接触すると、流体は物体から熱を奪い温度が上昇します。これを利用して流量を測定します。
熱式質量流量計の利点は、気体の検出が可能で、圧力損失が基本的になく、質量流量が測定できる点です。また可動部がないため、メンテナンスが少なくすみます。
コリオリ式流量計は、流体の質量流量を測定します。ほぼ全ての流体に使用できますが、 気泡の含有量が多くなると測定の支障が出ます。
直線またはU字型パイプの入口と出口に、振動センサーが取り付けられています。 流体がパイプを流れると、入り口と出口の間で逆方向のコリオリの力が作用し、パイプがねじられます。コリオリの力は物体の質量と速度に比例するのでパイプのねじれ量を測れば質量流量がわかります。
コリオリ流量計は、質量流量、密度、温度を同時に測定できる利点があります。 ただし非常に高価であり、平均よりも大きいサイズです。コリオリ流量計は、製薬業界、水処理施設、原子力施設、および天然ガスの測定と移送で一般的に使用されています。配置するには、配管の一部を置き換えます。