温度計の選定について

温度計とは、温度を測定して表示する計器のことです。
温度測定は、温度変化に伴う膨張、圧力、電気抵抗、赤外線放射などの、物理的特性の変化に基づいて行います。
温度計が測定する温度においては、ほとんどの温度計が温度計自体の温度を測定するため、 この温度は測定物の温度ではありません。対象物の温度を測定するには、温度計と測定対象物を熱平衡状態にさせます。例えば気温を測る場合、温度計が太陽に当たっていると、温度計が太陽により暖められてしまうため、実際の気温と異なる温度が表示されます。そのため、風通しの良いシェルターに温度計を置いて気温を測定します。

温度計は、日常生活(暖房・冷房、料理など)、医療、気象、研究、産業など様々な分野で使用されています。

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  • 温度計の選定について

    温度計を選定する際には、次の点に注目しましょう。

    • 固定タイプの温度計か携帯用の温度計か。
    • 接触式温度計か非接触式温度計か。
    • 測定したい温度範囲。 最低温度と最高温度。
    • 測定温度の変化が速いかどうか。
    • 温度計の設置場所。 遠隔表示かどうか。
    • 温度計の設置方法。 温度計の取り付け方。
    • 温度計を使用する環境。
    • 測定温度を保存する必要があるかどうか。 プロセスを制御するための出力信号が必要かどうか。
  • 接触式温度計と非接触式温度計について

    温度計は大きく分けると、測定物に触れる「接触式」と触れない「非接触式」があります。

    接触式温度計

    接触式温度計は、温度により特徴が変化する物性の変化を利用して温度を測ります。測定対象物の温度を測定するには、一般的に温度感知部と測定対象物が同じ温度に達しなければなりません。そのためには、温度感知部と対象物の接触をきちんと行い、両者が同じ温度に達するまでの時間を与えなければなりません。

    接触式温度計のタイプ:

    • ガラス製
    • 液体式
    • ガス式
    • バイメタル
    • 電気式(熱電対、サーミスタ、抵抗) 

    長所::温度計とプローブの構成に応じて、次の温度を測定することができます。

    • 表面温度
    • プローブが材料を貫通したときの内部温度
    • 液体や気体の温度

    短所:

    • 温度計が測定物と同じ温度になるのを待たなければならないため、測定時間が長い
    • 測定精度は、プローブと測定物の接触の仕方により異なる
    • 最高温度は、材料の抵抗によって制限される

    非接触式温度計

    非接触式温度計は、測定物に触れずに、遠くから温度を測ることができます。このタイプの温度計は赤外線技術を使用しています。

    長所: 

    • 瞬間的に温度測定ができる
    • 非常に高い温度に対応
    • 腐食性のある液体や回転シリンダーの温度を測定する場合など、測定物に触れることができない場合に役立つ

    短所:

    • 表面温度しか測れず、材料の内部温度が測れない
    • 気体の温度が測定できない
  • ガラス製温度計について

    SIKAのガラス製温度計

    SIKAのガラス製温度計

    ガラス製温度計は、液体と毛細管で満たされたガラス管です。

    機能:

    液体の膨張を利用しています。毛細管の直径が非常に小さいため、液体の膨張による小さな体積変化を、測定可能な液高の差に変換することができます。毛細管内の液体の高さに対応する温度は、ガラス管の目盛りから読み取ることができます。

    液体:

    水銀は最も効率が良いため、昔から最も使用されている液体でした。ガラスを濡らさず、その伝導性は急速な熱平衡を発生させ、広い温度範囲を測定できます。

    しかし、水銀には毒性があるため、現在では着色アルコールのような液体が水銀に代わって使用されています。

    用途 :

    主に研究所や食品業界で広く使用されています。携帯型と固定型があり、固定型の工業用タイプでは、ガラス管は金属製のボディに包まれており、より頑丈になっています。

    長所:

    • 電源がなくても使える
    • 正確な測定
    • 測定範囲は使用する液体によろ異なり、-200℃~1000℃の範囲で測定可能
    • 振動に鈍感

    短所:

    • ガラス製なため壊れやすい
    • 温度計が測定物と同じ温度になるのを待たなければならないため、測定時間が長い
  • 気体・液体温度計について

    JUMO気体温度計

    JUMO気体温度計

    気体式液体温度計は、ダイヤル式のアナログ温度計です。

    このタイプの温度計は、測定管内に配置された容器とブルドン管で構成されており、圧力下で液体または中性ガスで満たされた密閉空間を形成しています。

    測定管とブルドン管の間に毛細管がある場合は、測定対象物から数メートル離れたところまで温度計を移動させることができます。温度により内圧が変化してブルドン管が変形し、それが機械系を介して指針に伝達されます。

    長所:

    • 電源が不要
    • 正確な測定が可能
    • 測定範囲は、測定する液体や気体により異なる(液体の場合は-40~400℃、気体の場合は-200~700℃)。
    • 測定速度が速い
    • 測定物から離れた場所(数メートルまで)で温度測定可能

    短所:

    • 振動に敏感なため、 ブルドン管式マノメーターと同様に、衝撃を緩和する液体で満たされたケースを使用することができる
    • 周囲の温度が測定に影響を与える可能性がある
  • バイメタル・ロッド温度計について

    AMETEKのバイメタル温度計

    AMETEKのバイメタル温度計

    金属の膨張を使用した温度計にはバイメタル温度計と棒温度計があります。  

    棒温度計

    金属棒の長さが熱膨張により変化し、長さの変化は機械的システムによって指針に伝達されます。

    バイメタル温度計

    2枚の金属板を溶接または接着により貼り合わせたバイメタルを、螺旋状に巻いた部分が温度感知部分です。  

    2つの金属板は熱膨張率が異なり、温度の変化により曲がり方が変化し、この変形が指針に伝えられる仕組みとなっています。 

    バイメタル温度計には、固定型と携帯型があります。

    長所:

    • 電源が不要
    • 気体・液体温度計よりも安価
    • 周囲温度の影響がない

    短所:

    • バイメタルが温度変化に反応するのが遅いため、測定に時間がかかる
    • 液体・ガス温度計のように、対象物から離れた場所からは測定できない
    • 振動に敏感
  • 電気体温計について

    CHAUVIN ARNOUXの携帯型温度計

    CHAUVIN ARNOUXの携帯型温度計

    接触式電気温度計は、温度感知部(センサ)と、温度感知部からの電気信号を、画面上で表示できる温度測定値に変換する電子回路から構成されています。

    電気温度計には3つのタイプがあります。

    抵抗温度計

    金属・半導体の電気抵抗は、温度によって異なります。 抵抗素子は金属線で巻かれていて、抵抗値から温度を測定します。

    金属抵抗素子には、銅、ニッケル、プラチナなどの金属が使用されています。各金属には、それぞれの測定範囲があります。 金属抵抗素子に最もよく使われているは、PT100とPT1000の白金で、0℃での抵抗値がそれぞれ100オームと1000オームです。

    長所:

    • 非常に精度が高く、基準温度計として使用されている
    • 広い測定範囲(白金抵抗素子は-250~1100℃)

    短所:

    • 熱電対に比べて測定が遅い
    • 値段が高い
    • 場所をとる

    サーミスタ温度計

    サーミスタとは、温度の変化によって電気抵抗が大きく変化する抵抗体のことです。

    サーミスタには2種類あります。

    • 1つ目は、温度の上昇によって抵抗値が下がるサーミスタであるNTC(Negative Temperature Coefficient)。-200℃~1000℃の範囲で使用されます。
    • 2つ目は、温度の上昇によって抵抗値が上昇するサーミスタであるPTC(Positive Temperature Coefficient)。0~100℃の範囲で使用されます。

    長所:

    • サーミスタ温度計は、抵抗温度計よりも感度が高い
    • サーミスタ温度計は、抵抗温度計よりも場所をとらない

    熱電温度計

    熱電対は、ゼーベック効果に基づいており、両先端を接触させた2種類の金属線で構成されていて、 2つの接合点の温度差から測定物の温度を測定します。

    熱電対には、それぞれの構成材料があり、使用温度や特長が異なります。以下は熱電対の種類です。

    記号 構成材料 使用温度範囲
    J 鉄 / Cu-Ni合金(コンスタンタン) -210~1200°C
    K  Ni-Cr (クロメル) / Ni-Al (アルメル) -270~1372°C
    T Cu(銅) / Cu-Ni (コンスタンタン) -270~400°C
    E Ni-Cr (クロメル) / Cu-Ni (コンスタンタン) -270~1000°C
    N Ni-Cr-Si (ニクロシル) / Ni-Si (ニシル) -270~1300°C
    S ロジウム10%を含む白金ロジウム合金 / 白金 -50~1768°C
    R ロジウム13%を含む白金ロジウム合金 / 白金 -50~1768°C
    B ロジウム30%を含む白金ロジウム合金 / 白金 0~1820°C
    C レニウム5%を含むタングステンレニウム合金 / レニウム26%を含むタングステンレニウム合金 0~2320°C

    長所:

    • 応答が早い
    • 使用温度範囲が-270~2000°Cと幅広い
    • 低価格
  • 赤外放射温度計について

    FLUKEの赤外放射温度計

    FLUKEの赤外放射温度計

    赤外放射温度計の歴史はあまり長くありませんが、産業や研究で広範囲に使用されています。

    全ての物体は赤外線を放出しており、物体の表面温度が高いほど、赤外線が多く放射されています。 パイロメーターとも呼ばれる赤外放射温度計は、物体の表面から放出される放射線を、レンズで赤外線検出器に集光し、その出力信号は温度計の画面上に表示できる測定値に変換します。

    赤外放射温度計の最大の利点は、非接触で温度測定できることです。そのため、対象物に接触できない場合に使用されます。例えば動いている表面(回転するシリンダーなど)、表面が超高温、危険な環境、手の届きにくい場所などに使用できます。

    赤外線測定は信頼性が高く、測定速度が速く、価格も手が届きやすくなりました。基本的な目的で使う安価な温度計もあります。

    また、固定式プロセス温度計、モニタリングやスポット測定用の携帯型温度計やポケット温度計などがの様々な種類からお選び頂けます。

    これらの温度計の赤外線検出器は、固定波長で機能しますが、用途によっては、測定物の性質(例えば、ガラス、炎など)や測定を妨害する可能性がある大気の組成(水蒸気の存在など)に応じて、特定の波長を課すことができます。そのためメーカーは、様々な波長で機能する温度計を提供しているため、用途に適したモデルを選択しなければなりません。

    • 赤外線測定は、測定物の表面の放射率の影響を受けます。0から1のこの物理量は、赤外線の放射の仕方を特徴付けます。それは、測定物の種類、色、表面の状態から影響を受けるため、測定物の表面により異なります。よって正確な測定を行うには、対象物の放射率を正しくパラメータ化するか、2つの異なる波長から測定する2色温度計を選択する必要があります。
    • 赤外放射温度計は、視野角がある光学機器で、視野内の全表面の平均温度を測定します。そのため正確な測定を行うには、視野全体が測定対象になる必要があります。一方で、温度計が対象物の背景にある他の表面を感知してしまうと、測定に誤りが生じます。したがって、一般的に赤外線温度計には、光学またはレーザーシステムが装備されています。

    長所:

    • 非接触で遠隔操作が可能なため、動く物体やアクセスできない表面、また危険な環境下での温度測定が可能
    • 2000℃以上での測定が可能
    • 信頼性が高く、測定が速い
    • 価格がお手頃

    短所:

    • 表面温度のみの測定
    • 粉塵や霧などが測定に影響を与える可能性がある 
    • 測定物の表面の放射率を考慮しなければならない
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