防護マスクを正しく選択するには

防護マスクは、呼吸用保護具とも呼ばれ、有毒物質、感染性物質、微細な粉塵、ガス、ウイルスなどの有害物質から着用者の呼吸器や目を保護します。形状には、顔全体を覆うフルフェイスタイプと、口と鼻だけを覆うハーフフェイスタイプがあります。FFPマスクは、使い捨てです。フィルター付きマスクは、規格で定められたろ過率によって分類されます。しかし、危険度の高い雰囲気には適していないため、その場合、呼吸用空気供給装置付きのマスクを使用する必要があります。コロナウイルスが原因で、マスク着用が多くの国で義務付けられました。サージカルマスクは、一般的なウイルス対策としても使用されています。サージカルマスクは、防護マスクには含まれませんが、防護マスクとの違いを説明するために、お話させていただきます。

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  • 防護マスクの主な選択基準とは?

    防護マスクは、粉塵、ヒューム、ガス、その他有害物質のある環境で作業する場合に必要な呼吸保護具です。吸い込むと健康に深刻なダメージを与える可能性のある粒子や飛沫から着用者を守ります。さまざまな種類があるため、ニーズに合ったものを選ぶには、いくつかの基準を考慮する必要があります:

    • 汚染物質の種類:これらのマスクは、粉塵、ガス、煙、蒸気、エアロゾルから保護することができます。汚染物質の種類に応じて、フィルター付きマスクと送気マスク(空気ボンベに接続されたマスク)のいずれかを選択する必要があります。
    • 作業環境の酸素濃度:酸素濃度が17%以上の場合、フィルター付きマスクを選びます。
    • ハーフフェイスマスクとフルフェイスマスク:ハーフフェイスマスクは気道を保護し、フルフェイスマスクは目も保護するため、完璧な密閉性を確保できます。
    • 使い捨てマスクと再利用可能マスク: FFPマスクは使い捨てで、保護時間は短いです。再利用可能なフルフェイスマスクやハーフフェイスマスクの場合、フィルターやカートリッジを定期的に交換する必要があります。 また、使い捨てのハーフフェイスマスクもあり、2つのフィルターで粒子とガスから保護できます。再使用可能なハーフフェイスマスクより軽いですが、FFPマスクよりは重いです。
    • 使用時間:使い捨てマスクは最大8時間で廃棄します。ただし、使用方法によっては短くなることもあります。再利用可能マスクの場合、フィルターやカートリッジを頻繁に交換する必要があります。
    • バルブの有無:マスクを着用すると不快感(マスク内に熱がこもったり、呼吸がしにくくなる)を感じることがあります。一部のマスクには呼気弁が付いており、より快適です。このバルブは呼気時に空気を通し、吸気時に閉じます。こうすることで、粒子がマスク内部に侵入することはなくなりますが、吐き出された空気はろ過されないため、外気を汚染する可能性があります。
  • フィルター付きマスクと送気マスク

    防護マスクには、フィルター付きマスクと送気マスクの2種類があります。

    フィルター付きマスク

    空気中の汚染物質を捕らえ、着用者が吸入する前に浄化します。空気中の酸素濃度が17%以上の場合に使用されます。 陰圧式と陽圧式に分けることができます。電動ファンなし(陰圧)のフィルターは、短時間の作業に適しています。

    • FFP1・FFP2・FFP3などの使い捨てマスクは、ほこり、粒子、ウイルスなどの汚染物質から保護し、最長8時間使用できます。
    • 洗って再利用可能です。ハーフフェイスタイプとフルフェイスタイプから選ぶことができ、定期的に交換するのは、フィルターの入ったカートリッジだけです。

    電動ファンあり(陽圧)フィルターは、きれいな空気をマスク内に取り込むことができます。これにより、吸引可能な空気量が増え、装着者の快適性が向上します。セミフェイスタイプとフルフェイスタイプがあり、フィルターまたはカートリッジは、使用前または飽和状態になったら交換します。

    送気マスク

    空気ボンベから、汚染されていない呼吸用空気がマスク内に供給されます。酸素濃度が17%以下の下水道や地下ピットなどの閉鎖された環境での長時間の作業や、汚染濃度が高く、ろ過できない場合に使用されます。フルフェイスタイプです。装着者を汚染環境から完全に保護するため、他のどのマスクよりも優れた保護性能を持っています。自給式と非自給式の2種類があります。

    自給式の場合、マスクに接続された酸素ボンベを携帯することになります。そのため、作業エリア内を自由に動き回ることができます。このタイプのマスクには、フィルターが付いていません。しかし、空気ボンベ内の空気量には限界があります。

    非自給式のホースマスクは、汚染された作業区域の外にあるコンプレッサーに接続されたホースを介して、きれいな空気が供給されます。そのため、移動する際は躓かないように注意しなければなりません。

  • フルフェイスタイプとハーフフェイスタイプ

    Dräger Safety社のハーフフェイスマスク

    FFPマスクは、粉塵や粒子に対して有効であり、ハーフフェイスマスクやフルフェイスマスクは、ガスや蒸気に対しても有効です。ハーフフェイスマスクとフルフェイスマスクのどちらを選ぶかは、汚染物質の性質、濃度、作業環境によって異なります。

    ハーフフェイスマスク

    ハーフフェイスマスクは、視界を損なうことなく、顔の下半分(鼻、口、顎)を覆います。酸素濃度が17%以上の作業環境でのガスや蒸気に有効です。目に危険のない環境向けで、一般的にフィルタータイプです。柔らかいシリコンタイプのハーフフェイスマスクは、再利用可能で、付け心地が快適なため、長時間着用できます。より軽量で使い捨てのハーフフェイスマスクには、ラテックス・シリコンは使用されていませんが、鼻の位置が低いため、例えば安全ゴーグルを着用することができる。

    フルフェイスマスク

    フルフェイスマスクは、顔全体をカバーします。特に目に危険がある場合は、その高い密閉性と保護力から推奨されています。酸素が豊富な環境でも、酸素濃度が17%以下の酸素が乏しい環境でも、有毒ガス、溶接ヒューム、蒸気に効果的です。フィルターが1枚のフルフェイスマスクは、エラストマーまたはシリコン製。広い視野を提供するシールドのものもあります。パノラミックスクリーンを装備し、視界を確保したモデルもある。フィルターが2枚のフルフェイスマスクは、空気をより逃がしやすくするためのバルブが付いており、より快適な付け心地で曇り止め効果があります。化学、製薬、自動車、ガス産業で広く使用されています。

    TYCO FIRE & INTEGRATED SOLUTION社のフルフェイスマスク

    フィルター

    マスクを選ぶ際には、用途に合った適切なフィルターを選ぶことが重要です。フィルターには、ガスフィルター、粒子フィルター、複合フィルターの3種類があります。ガスフィルターは、は、有毒ガスや蒸気、化学物質から着用者を保護します。

    粒子フィルターは、メカニカルフィルターとも呼ばれ、蒸気、ほこり、煙、ウイルス、その他の微生物から保護します。このガイドの最後には、欧州の法令に基づく、これら2種類のフィルターのクラスがまとめられています。

    複合フィルターは、ガスフィルターと粒子フィルターの特性を併せ持ち、例えばエアロゾルとガス・蒸気から同時に保護するために必要です。

  • サージカルマスクと呼吸器保護マスク(FFP)の違いとは?

    Medline社のサージカルマスク

    コロナウィルスが大流行し、多くの国でマスクの着用が義務化されたため、サージカルマスクとFFPマスクという2種類のマスクが非常によく知られるようになりました。FFPマスクは、実際には個人防護具ですが、サージカルマスクは違います。両者の主な違いは以下の通りです。

    サージカルマスク : コロナウィルスの大流行と同時に、私たちの生活に登場しました。サージカルマスクは、使い捨ての医療用具であり、着用者から排出される飛沫が、周囲の環境や人々を汚染するのを防ぎます。伝染病患者がサージカルマスクを着用すると、唾液の飛沫を封じ込め、周囲の人が飛沫を吸い込むことを防ぐことができます。 このタイプのマスクには、フィルターがありません。そのため、ウイルスやガスなど空気中に浮遊する小さな粒子から着用者を守ることはできません。

    マスクの効果: サージカルマスクは、呼気の方向(内側から外側に向かって)にテストされます。このテストでは、細菌ろ過率も確認できます。ヨーロッパでは、ヨーロッパ規格EN14683に準拠する必要があり、この規格では3段階のろ過効率があります。

    – タイプI:ろ過効率95%以上。

    – タイプII:ろ過効率98%以上。

    – タイプIIR:ろ過効率98%以上・防滴仕様。

    米国では、ASTM規格に準拠しなければなりません。ASTM規格には3段階の保護レベル(液体にさらされるリスクが低いレベル1から、液体にさらされるリスクが高いレベル3まで)があります。

    Moldex-Metric社のFFP2防護マスク

    FFP保護マスク

    FFPマスクは、フィルター付きの呼吸保護具です。飛沫、微粒子(粉塵など)、浮遊ウイルスから着用者を保護します。酸素濃度が17%以上の環境で使用できます。サージカルマスクと同様、使い捨てです。8時間以上着用することはできず、使用後は廃棄します。形状は様々で、弁付き防じんマスクは硬質で、ノーズフィットとストリップが付いています。折りたたみ式マスクは、柔軟な素材でできており、ノーズフィットが付いています。ヨーロッパでは、使い捨て呼吸保護マスクには、FFP1FFP2FFP3の3種類があります。

  • 防護マスクの規格について

    FFPマスクの規格

    FFPマスクは、外側から内側へのろ過率と漏れ量(着用者の顔に正しくフィットしても、完全に密閉できることはほとんどないため)がテスト済みです。ヨーロッパでは、EN 149:2001という規格に準拠する必要があり、3つのタイプに分類されています:

    • FFP1マスクは、3種類の中で最もろ過率が低いマスクです。エアロゾルのろ過率は最低80%、漏れ量は最大22%です。主に粉塵対策に使用されます。
    • FFP2マスクは、最低ろ過率94%、最大漏れ量8%です。主に建設、農業、医療従事者がインフルエンザウイルスから身を守るために使用します。
    • FFP3マスクのろ過率は最低99%で、漏れ量は最大2%です。最もろ過率が高く、非常に微細な粒子、特にアスベストから着用者を保護することができます。米国では、マスクは米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の承認を受けなければなりません。

    米国では、マスクは米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の承認を受けなければなりません。マスクは、N、R、Pの文字で表される耐油性の度合いによって3つの規格に区別され、数字は空気中の粒子のろ率を示しています:

    • クラスN:耐油性なし。このクラスにはN95、N99、N100マスクが含まれます。
    • クラスR:最大8時間の耐油性を持つマスク。R95、R99、R100のに分けられます。
    • クラスP:完全耐油マスク。粒子に対する3つの規格P95、P99、P100もあります。

    FFPマスクの保護規格:

    保護等級 FFP1 FFP2 FFP3
    汚染物質 非毒性微粉塵・シリカ ・黒鉛 ・硫黄 石炭・ 鉄金属・ ガラスウール・ 木 微粒子および有害粒子・ 樹脂・ 金属・ オイルミスト・ ウイルス 非常に微細な粒子・ 鉛 ・アスベスト・ ヒ素 セラミック繊維 ・コンクリート・ ウイルス・ クロム ・ニッケル
    用途 繊維産業・工芸・冶金・鉱業・建具 繊維産業・溶接・建具・高級家具製造・金属切断・ 研究所・農業(鳥インフルエンザ) アスベストやレジオネラに接触する短期作業・ 汚染対策に有効 ・溶接・ 鋳造・ 金属切断・ 製薬産業
    ろ過効率 80% 94% 99%
    その他の特徴 バルブなし バルブなし バルブ付き

    再使用可能な呼吸マスクのフィルターおよびカートリッジの保護規格:

    フィルターの種類 ガスフィルター 粒子フィルター
    保護等級 クラス1

    小型カートリッジ

    ガス濃度0.1%以下

    P1

    毒性を持たない固体粒子(炭酸カルシウム)

    クラス2

    中型カートリッジ

    ガス濃度0.5%以下

    P2

    固形・液体を問わず、危険または刺激性のあるエアロゾル(シリカ、炭酸ナトリウムなど)

    クラス3

    大型カートリッジ

    ガス濃度0.1%以下

    P3

    有毒エアロゾル、固体および液体(ベリリウム、ニッケル、ウランなど)

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